九州大学大学院芸術工学府デザイン人間科学国際コースでは、毎年8月下旬から2週間、世界各国から人間科学に関心を持つ大学院生や若手教員を対象としてサマースクールを実施しています。2015年は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、韓国、タイなど、主にアジア地域から24名が参加しました。
サマースクールの一つ目のねらいは、人間科学に関する講義を国際コース全教員により集中的に行い、短期間で多岐に渡る人間科学分野の概略をつかんでもらうことです。二つ目のねらいは、コースの各研究室に2週間所属し、自ら手を動かして実験データを取得し、研究成果をプレゼンテーションしてもらうことで、人間科学への興味をさらに深めてもらうことです。
○広い人間科学分野の講義
人間科学の分野と関係する「生理人類学」「知覚心理学」「生体情報数理学」の入門的な講義を受講しました。残念ながら、九州地方への台風の直撃のため、1日休講となってしまいましたが、90分授業×11回、本コースがカバーするほぼ全ての分野を学びました。
・脳科学入門
・温度環境への人の適応
・聴覚の神経生理
・人間福祉工学
・錯視
・錯聴
・色覚の進化
・自己移動感覚
・Rによる多変量解析
・言語の発達
・対話型進化計算
講義では、活発な質疑が交わされ、受講者だけでなく講師側にとっても意義深い経験となりました。
○各研究室でのラボワーク
毎日講義後は、数名ごとのグループに分かれ、各研究室にてコース教員から指導を受け実験・実習を行いました。研究の現場にふれることで、人間科学各分野の面白さがさらに伝わったようです。
○日本の自然・文化にふれる
休日を利用して、大宰府、熊本・阿蘇方面へのバスツアーで交流を深めました。和風庭園や熊本城、雄大な阿蘇山の様子は、参加者にとって、新奇な面もある一方、出身国との共通点もあるようでした。九州は歴史も自然も豊富なところであり、都市部にある福岡に滞在するだけでは体験出来ない日本の一面を知る良い機会となったようでした。
○プレゼンテーション
サマースクールの締めくくりとして、各研究室でのラボワークの成果を発表しました。どのグループも、充実したラボワークの様子が伝わってくる魅力的なプレゼンテーションでした。
このサマースクールを通して培われた国際的な人間科学分野の若手研究者のネットワークは、今後いかされていくことでしょう。既に、過去のサマースクール参加者らによる国際的な学術交流が始まっており、今後活発化していくことが期待されます。なお、本サマースクールは、日本学生支援機構(JASSO)、JSTさくらサイエンスプラン、芸術工学部グローバル化推進経費からの支援を受けて実施されました。