第2回デザインセミナーNEXTでは、イングランドを主な拠点に、貧困や学習障害など困難な状況にある児童生徒に対するワークショップを展開するプロジェクト「Conductive Music」から、エンリコ・ベルテッリさん、鹿倉由衣さんをお招きしたレクチャー+ワークショップ『STEAM教育:音楽を通じたプログラミング教育の実際』を行いました。当日は5時間にわたるワークショップにも関わらず、学内外から11名のご参加をいただきました。当日の様子を本学大学院芸術工学研究院の長津結一郎がお伝えします。
Conductive Musicは創造と破壊を通して学習することをモットーとする、音楽とテクノロジーを融合した会社。近年重要視されているプログラミング教育に対して、音楽や芸術の立場からアプローチする「STEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art, and Mathematics)」を提案しています。Conductive Musicの講座ではいつも、オンラインで完結する、半永久的でどこでも使えるツールを用いています。
今回の講座ではGoogle Chrome上で操作できるツールを使い、片手に収まる大きさのプログラムできるマイクロコンピュータ「micro:bit」を用いたコーディングを行いました。エンリコさんから操作の説明があり、LEDに文字やアイコンを表示させ、micro:bitに接続したスピーカから音楽を再生しました。また、micro:bitに内蔵されたセンサを用いて、動きや傾きに応じた動作や、温度や電極に応じた動作を作成しました。参加者は簡便なツールで多様な表現が生み出せるということに驚いているようでした。
次に、micro:bitを使い、コードを組み合わせて参加者が実際に楽器を作成しました。段ボールやアルミホイルなどの身近な道具をつかってmicro:bitを装着したオブジェクトを工作しました。
最後はプレゼンテーションにて、傾きにより音が変わる楽器、振ると音が鳴る楽器、転がす事で音が鳴る楽器など多様な楽器が発表されました。
エンリコさんと鹿倉さん講評:
今回の実践は正確性を求めるものではなく、「創造と破壊を通して学習する」始まりに過ぎない。micro:bit以外にも様々なツールか存在し、音楽に留まらない活用がなされている。重要なのは考え、修正し、そして皆でアイデアを持ち寄ることである。
2019年より、九州大学大学院芸術工学研究院では、基礎論の枠に留まらないデザインの新たな可能性を探ることを目的とし、『デザインセミナーNEXT』を立ち上げ、実践的な活動を行うこととなりました。デザインの体系化を目的とするデザイン基礎学セミナーとの二本柱で、新たな教育方法の確立に取り組んでいきたいと考えております。
Conductive Music CIC
2012年に創立。貧困や学習障害など困難な状況にある児童生徒に、音楽・テクノロジー・科学を兼ね備えたSTEAMに焦点をおいた刺激的な経験を届けている。イングランドを拠点に、ギリシア、フランス、スペイン、タイ、香港等、活動の幅を広げている。http://conductivemusic.uk/
[コーディネーター]
日時
2019年9月30日13:00-18:00
場所
九州大学大橋キャンパス3号館322教室
福岡市南区塩原4-9-1
お問い合わせ
九州大学大学院芸術工学研究院 長津結一郎
nagatsu(a)design.kyushu-u.ac.jp
Member
- 長津結一郎 九州大学大学院芸術工学研究院