みんながやさしい、みんなにやさしい「ユニバーサル都市・福岡」の考え方を広く市民に伝え、市民のユニバーサルデザインへの理解・促進を図るために、2015年10月3日から4日にかけてデザインワークショップを実施しました。
福岡は食のまち、また日本におけるアジアの玄関口として知られています。近年、福岡市を訪れる外国人観光客は、アジア圏を中心に急激に増加しています。それにともない飲食業界は賑わいを見せていますが、同時に食に関する文化の違いから課題も生じています。
こうした背景から、今回のデザイン・ワークショップでは、飲食店におけるユニバーサルデザインに注目しました。「食のおもてなし」をテーマに、外国人、デザイナー、飲食業関係者、学生がチームをつくり、飲食店におけるユニバーサルデザインのあり方を探ります。外国人観光客と飲食店の間で生じる課題を解決し、市内の様々な飲食店で展開しやすい、具体的な提案を行います。
Aチーム:FUKUOKA B-ITE
外国人観光客と飲食店の間で生じる食文化にまつわるチグハグを解消し、互いに異文化に触れる楽しさにつなげるための提案をします。
「知っている人に会う感覚」「自然な動きの中で情報を得ること」「福岡(旅先)らしさを身につける楽しみ」などをキーとし、アプリやゲーム、およびそれをつなぐ仕組みをデザインしました。
具体的には、飲食店の大将を紹介したサイト「大将図鑑」、博多っ子らしく振舞うとポイントが上がる「博多っ子度チェック」、福岡のおいしい!を体験するたび領地が増える「食道楽・国取りゲーム」などのコンテンツを、wifiに接続する最初の画面「FUKUOKA wifi アプリ」で情報集約し、発信することでシステムとして機能するようにします。
Bチーム:EAT JAPAN PROJECT
せっかく食事するなら美味しいのがいいな。損したくないから量もわかるといいな。ダメなものはきちんと伝えたいな。という観光客の悩みを軽くして観光客、お店の人、地元の人のストレスを軽くすることで福岡での食事体験を福岡観光の体験に組み込み楽しいものにします。
そこで、「Eat Japan」というサービスを提案します。
メインは試食ボックスで、空港や主要駅で購入でき、少しずつ料理の味見ができます。他にも、アニメーションを通し食事のマナーがわかる装置、外国人が安心して食事できる店のEat Japanマーク認定、番号でメニューの注文ができる工夫、食後の感想をコメント帳やアプリに書き込み、他の旅行者が参考にできるサービスを提供します。
Cチーム:ヤタキット
出発前から屋台を楽しみ帰国するまで、外国人観光客の一連の流れを考慮した、ヤタイ・エコシステムを提案します。
客と屋台の信頼関係を育てることを目指したこのデザインで、外国人観光客と福岡の屋台、地元の客をつなぎ、より楽しい屋台文化を育てていきます。屋台を存分に楽しむための情報が掲載され、ポイントカード機能なども持つ「YATAI・パスポート」。外国人の接客に自信がない大将が活用できる「YATAI・虎の巻」。食材をアイコン化したカードなど掲示するだけで、外国人にもわかりやすい空間を気軽につくれる「YATAI・キットセット」を活用します。
また、外国人観光客に向けた工夫や努力をした屋台には、フレンドリー屋台としてワッペンと旗が与えられます。
Dチーム:YATAI BUDDY
屋台バディは、認定された屋台店員が屋台未経験の外国人とバディを組み、一緒に屋台特有のマナーを学んだりコミュニケーションを楽しんだりすることで、Real Japanの体験を思い出に残す仕組みです。
屋台バディは、Face to Face(顔が見えるコミュニケーション)/Serendipity(事前情報が無くても楽しめる)/Learning through Eating(食を通じ日本を知る・学ぶ)という3つのポイントを大事にしました。
屋台初心者の外国人もウェルカムの証である「屋台バディマーク」、iPadを活用した「屋台プリクラ」、チャルメラの音を合図にすべての屋台で一斉に乾杯する「みんなで乾杯」などのシステムを複合的にデザインすることで、屋台に対する入りにくさを解消し、楽しい思い出をつくることができます。
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ユニバーサル都市・福岡デザインチャレンジ2015