九州大学SDGsデザインスクールは、2019年に設立した九州大学大学院芸術工学研究院「SDGsデザインユニット」が行う教育活動の一環です。子どもから大人までさまざまな人を対象に、地域の学校や公民館などで、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)に対して、デザインの領域で貢献することを目指し、創造性教育プログラムを提供します。
昨年から引き続き、福岡市立福翔高校と連携して、高校3年生28名を対象にした「SDGsチャレンジプロジェクト」の授業を2020年8月17日から19日の3日間の午前中、高校の担当の先生方と実施しました。
この授業では、デザイン思考を通してSDGsの課題に着目し、互いに協力し合いながら課題解決へのアイデアを考え出すことで主体性や創造性を育むことを目的としています。 授業は課題の確定、コンセプト作り、アイデア展開、プロトタイピングのプロセスで進めました。
今年は新型コロナ感染症対策として学生がグループ内で話し合う際の密を避けるために、オンラインホワイトボードの「miro」というアプリを使用しました。学生はテキストのワークシートとタブレットを使用し、対面授業とオンライン議論を同時に行う形で実施しました。
学生は「自然環境、健康と福祉に関する課題」をテーマにした3グループ、「エネルギー、産業技術に関する課題」をテーマにした3グループに別れました。
1日目は課題確定です。
SDGsについての説明,miroの使い方の説明,九大芸工で開発したSDGs教育のためのカードの使い方の説明がありました。学生はグループ名を決め,それぞれが考えてきた課題をmiroで共有し整理を行なってグループの課題を決定しました。課題解決に向けた社会の取り組み事例をインターネットなどを利用して調べmiroで共有しました。miroで1日目のまとめのポスターを作成し,画面をスクリーンに投影し発表会を行いました。
2日目はコンセプト作りとアイデア展開です。
宿題であった「課題解決のためのターゲットを決める」についてグループ内で共有し,先行事例について考えました。次に課題を解決するためのアイデアをたくさん考え,それを共有し,miroで2日目のまとめのポスターを作成しました。発表についてのコメントもmiroの付箋機能を利用しました。
3日目はアイデア検証と提案です。
宿題であった「第3者に聞いてアイデアを検証する」についてグループ内で共有し,アイデアの改良を行いました。最終的なポスターをmiroで作成し発表会を行いました。アイデアをわかりやすく説明するためにポスターにイラストを加えたり模型を作成するグループもありました。
ワークシートとタブレットを併用してデザイン思考を活かしたSDGsのワークショップを実施するのは初めての試みでした。多くの課題も見えてきましたが,学生からは「ソーシャルディスタンスを意識して議論できた」や「miroを使いながら活発な議論ができた」,「今を取り巻く社会について深く考える機会になった」などの声が聞けました。学生たちはSDGsについて理解を深めたとともにデザイン思考についても学びました。この学びを将来に繋げていってほしいと思います。
日時
2020年8月17日〜19日
場所
福岡市立福翔高等学校
お問い合わせ
九州大学大学院芸術工学研究院 SDGsデザインユニット事務局
092-553-4400