2020年度から始まった授業「デザインと日本」は、建築、音、アート、メディアなど毎回異なる専門分野の教員が、それぞれの切り口で日本のデザインを紹介する科目です。これほど多様な分野からデザインをまとめて学ぶ機会はなかなかありません。
この授業の目的は、日本のデザインについて幅広い知識を得ること、もう一つは留学生との交流を深め英語力を身につけることです。授業の内容は、日本の公共空間に施されたユニバーサルデザインや、マルチメディアを駆使したマンガの記号論、縄文時代から連綿と続く日本の美意識など、九州大学芸術工学研究院ならではの多彩な切り口でデザインについて学ぶ授業となりました。
2020年度の参加者は、日本、中国、韓国、タイ、バングラデシュ、フィリピン、ミャンマー、インドネシア、台湾、タンザニア、ブラジル、フランスの計12か国および地域から40名(聴講生を含めると46名)の学生が履修しました。学生の割合は65%が海外からの留学生などで35%が日本人学生でした。全ての授業は英語で行われ、学生は熱心に英語でグループディスカッションや発表を行いました。
授業の実施にあたっては、新型コロナウイルスの影響を受け、来日予定だった留学生が日本に入国できず、複数の学生が母国からオンラインで参加しました。この授業はオンラインと対面授業のハイブリッド形式で行われ、音響機器や映像機器を組み合わせてオンライン参加者も対面授業参加者もグループディスカッションや発表ができるよう環境を整えました。
プログラム中盤には、エクスカーションとして福岡県南部の八女市・久留米市を訪れ、八女福島の伝統的な町並みを散策したり、普段はなかなか目にすることのできない久留米絣の工房や日本酒の酒蔵などの製造過程を見学しました。
最終プレゼンテーションでは、学生がもっとも興味のある講義について、気づきとその授業から得られたアイデアを英語で発表しました。授業を終えて、学生は「英語で自分の考えを伝える機会がほとんどなかったので刺激になった」、「日本のデザインとその背景にある物事を深く知ることができた」と振り返りました。
芸術工学研究院では、今後もこうした英語による授業や留学生との交流機会を増やし、国際化を推進します。なお、この授業は「日本を知るためのプログラム」の一環で実施しています。
[プログラム]
第1回 ガイダンス
日時:2020年10月7日(水)
担当教員:下村 萌
第2回 日本のユニバーサルデザイン
日時:2020年10月14日(水)
担当教員:張 彦芳
第3回 日本におけるポスト人間中心デザイン
日時:2020年10月21日(水)(オンラインのみ)
担当教員:稲村 徳州
第4回 日本の建築
日時:2020年10月28日(水)
担当教員:加藤 悠希
第5回 日本の音と音楽
日時:2020年11月4日(水)
担当教員:Daryl Jamieson
第6回 日本の美意識を表現するプロダクトデザイン
日時:2020年11月11日(水)
担当教員:杉本 美貴
第7〜10回 エクスカーション「日本の伝統工芸」
日時:2020年11月21日(土)
担当教員:池田 美奈子、杉本 美貴、下村 萌
第11回 日本の生活・福祉
日時:2020年11月25日(水)
担当教員:Loh Ping Yeap
第12回 日本のサブカルチャーとメディア
日時:2020年12月2日(水)(オンラインのみ)
担当教員:冬野 美晴
第13回 アートにおける場所と作品の関係
日時:2020年12月9日(水)(オンラインのみ)
担当教員:栗山 斉
第14回 デザインの学び: 日本の内と外
日時:2020年12月16日(水)(オンラインのみ)
担当教員:Loh Wei Leong, Leon
第15回 プレゼンテーション
日時:2020年12月23日(水)
担当教員:下村 萌
[単位数]
2単位
[対象]
九州大学への留学生、九州大学の学生(学部・大学院)
日時
2020年10月7日〜12月23日
お問い合わせ
九州大学大学院芸術工学研究院 芸工インターナショナルオフィス
intl-ofc(a)design.kyushu-u.ac.jp