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九大×花王 SDGsクリエイティブコラボ 学生レポート「インド・ムンバイ近郊のフィールド調査を終えて」

SDGsデザインユニットは、「SDGsデザイン社会連携プログラム」の第一弾として花王株式会社と連携し、社会課題を解決する作品を制作する『九大×花王 SDGsクリエイティブコラボ』を実施しています。

同ユニットでは、2018年5月に開催したキックオフワークショップで生まれたアイデアから途上国の衛生問題をテーマにした絵本やプロダクトを制作しています。同年8月、学生がインド・ムンバイ近郊ビワンディのスラム街、ターネーの小学校を訪問し、ユーザー調査や専門家へのヒアリングを行いました。
今回は、ワークショップから作品制作まで携わった学生たちが見つめる、インドの問題や解決方法をレポートにてお伝えします。

学生レポート「インド・ムンバイ近郊のフィールド調査を終えて」

私たちは「キレイ」というテーマのもと、SDGsの達成に向けたデザイン提案を目指しました。
まず5月に行ったワークショップにおいて、途上国には「親が決める相手との早すぎる結婚によって、自分のために生きることが困難な女性」が多くいるということを知りました。そんな彼女たちの助けになる支援システムをつくりたいと考え、日本から現地の女性たちに生活用品や美容用品をプレゼントできる仕組みを提案しました。この提案には様々な意見をいただき、本当に必要な仕組みとは何なのか、もっと現地の女性に寄り添うことはできないかという点でさらに考えを深める必要があると感じました。

その後、途上国の女性問題について知識を深めるため、文献調査やヒアリングを行いました。しかし、日本で暮らす私たちが異なる環境で生きる途上国の女性の気持ちになって物事を考えることは難しく、かなり思い悩みました。そこで、アジアで多くの問題を抱えつつも急激に発展を続ける国インドに対象を絞り、現地調査から見えてくるリアルな課題について掘り下げていくことにしました。

8月に行ったムンバイ近郊でのフィールド調査では、現地で暮らす日本の方や、教育問題・女性の人権問題など様々な課題解決に長年取り組む現地活動家の方々にお話を伺い、解決すべき問題や日本人から見たインドの姿、インドを形づくる思想や文化について理解を進めることができました。そして、実際にスラムの家の中を見せていただいたり、小学校の子どもたちや先生に話を聞いたりして、現地の人々の暮らしぶりを間近で知ることができました。さらに、私たちがテーマとしていた女性問題をはじめ、衛生問題や教育問題などあらゆる問題には古くからのカースト制度が深く関わっているのだと知りました。インドでは掃除はアウトオブカーストの仕事であることから、卑しい行為だと認識されています。道路にはたくさんのゴミが捨てられており、公共空間をきれいに保つ意識が薄いように感じられました。

これらの調査から、公共空間を身分の関係なく皆で掃除することで、カーストの意識を変え、平等で清潔なインドへのきっかけを作りたいと考えました。そこで、私たちはインドにおける「掃除」と文化の関係に着目し「将来のインドを担う子どもたち」を対象に、最も身近な公共空間である小学校の掃除を皆で楽しく出来るよう、掃除上手を表彰するシステムとそのツールを提案しました。

掃除を正当に評価される経験、皆で協力して公共空間を綺麗にする経験を幼少期に得ることで、彼らの価値観が変わり、これからのインドに変化が生まれるのではないかと考えています。

(芸術工学部 4年 酒井笑・城川 真実)

レクチャーの様子
ムンバイ(都市部)の風景
ビワンディ(スラム街)の風景

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