デジタルファブリケーション -コード、マシン、ハンド- 成果展 “再帰”
2018年9月18日〜21日
九州大学大橋キャンパスに2018年の9月にオープンしたデザインコモンにて、2018年9月18日〜21日に渡り、デジタルファブリケーション -コード、マシン、ハンド- 成果展 “再帰” を開催しました。
2016年度より臨時開設科目として実施している同名の授業の成果発表としておこなった今回の展示では、プログラミングによるデータの生成(コード)、デジタル機器によるデータの物理化(マシン)、さらにその形状の手による再現(ハンド)という3つのプロセスを踏まえて作り出された平面(2次元)と立体(3次元)を、粘土の練り台を展示台として陳列しました。
“再帰(recursion)”というテーマのもと、2次元、3次元それぞれのコードを記述すると共に、そのコードに基づき機械で作り出したものを、13名の受講生の手での作業を通じて自ら参照しなおす、という試みから生まれた造形を通じて、計算論的思考と実践による体現との組み合わせによる創造のプロセスを示す展示となりました。
最終日には、広島工業大学環境学部建築デザイン学科の杉田宗氏をゲストに迎え、「ポスト・デジタルファブリケーションのデザイン教育」と題したトークイベントを開催しました。まず始めに、私からこの授業の着想に至った経緯として、自らの携わってきた活動に沿って、2010年前後からの DIY(Do It Yourself)/DIWO(Do It With Others)、パーソナル・ファブリケーション、メーカームーブメントという、新たなモノづくりの動きとデザイン教育との結びつきを紹介しました。
続いての杉田氏のトークでは、アルゴリズム建築を背景とした自身の活動を踏まえ、広島工大での授業『コンピュテーショナルデザイン(1年後期)』、『デジタルファブリケーション(2年前期)』、『BIM実習(2年後期)』の内容を中心とした豊富な実例の紹介が、日本のデジタルデザイン教育に対する数々の問題提起とともに行なわれました。
また、本学学術研究員/anno labの渡辺 圭介氏からは、レーザーカッター、3Dプリンタとの個人的な出会いに端を発したデジタルファブリケーションとの関わり、Fab Lab 仙台の立ち上げ、Fab Lab 世界会議への参加、anno labでの実務における活用、といった話題が紹介されました。
イベントの後半に行われた質疑応答では、本学の教職員や在学生のみならず、卒業生やデジタルファブリケーションの実務に携わる来場者から、本学におけるデザイン教育の課題、技術とゆたかさ・幸福との関係、アナログvsデジタルからの脱却、東京ではない場所だからできること、といった問いがよせられ、当初の終了時刻を大幅に超える中、アナログからデジタルまでを滑らかに取扱う体系的なデザイン教育を見据えた、数々の議論が繰り広げられました。
最後になりましたが、来場者の皆様、本授業の実施を支えて頂いた工作工房スタッフを始めとする関係者の方々に、主催者を代表してお礼申し上げます。
城 一裕
[参考資料]
会場配布冊子
杉田宗, 今こそ日本に合ったデジタルデザイン教育を(ArchiFuture Web, 2018.09.18.)
デジタルファブリケーション −コード、マシン、ハンド− 成果展 “ 再帰 ”
[会期]2018 年 9 月 18 日(火)13:00 − 9 月 21 日(金)18:00
[会場]九州大学大橋キャンパスデザインコモン
トークイベント
[日時]2018 年 9 月 21 日(金)19:00 − 20:30
[会場]九州大学大橋キャンパスデザインコモン
[登壇者]杉田 宗(広島工業大学 環境学部 建築デザイン学科 助教)
城 一裕(九州大学 芸術工学部 音響設計学科 准教授)
渡辺 圭介(九州大学 芸術工学研究院 学術研究員 / anno lab)
臨時開設科目 デジタルファブリケーション(講義・演習)−コード、マシン、ハンド−
[開講日程]6 月 14 日以降の毎週木曜日 5、6 時間目(6月14日~8月2日)
[授業概要]
デジタルファブリケーションと従来の伝統的技法の双方の特性を体験的に学ぶと共に
工作工房設備の活用法を理解することを目的とする。具体的には 2D と 3D の形状を
対象に、プログラミングによるデータの生成(コード)と、ファブリケーションツール
によるデータの物理化(マシン)、さらにその形状の手による再現(ハンド)を行う。
あわせてその成果をアーカイブするとともに展示形式で発表する。
[授業計画]
6月14日 イントロダクション・工房安全講習
6月21日 2D データの作成
6月28日 2D データの物理化−マシン(レーザーカッター)
7月5日 2D データの物理化−ハンド(糸鋸盤、電動ドリル、パネルソー)
7月12・19日 3D データの作成、物理化−マシン(3D プリンター)
7月26日 3D データの物理化−ハンド(粘土)
8月2日 最終講評
[担当教職員]
城一裕(音響設計学科)、稲村徳州(芸術情報設計学科)、森本有紀(画像設計学科)、
岩元真明(環境設計学科)、 秋田直繁(工業設計学科)、渡辺圭介(学術研究員)
[TA]
横川十帆、中村魁
[協力職員(工作工房)]
笠原和治、津田三朗、福澤萌、平山仁貴
[参加学生(全学科 2 年生以上)]
宇山明穂、桑村直弥、高田佑亮、足立昂貴、嶋田萌季、園田浩貴、田中健、
種子田昌樹、藤原佳生、齊藤直行、北村瑛梨、遠山明弥、 前野飛鳥、
森辺ほのか、松久保あずさ、吉村帆生、大村美波
日時
2018年9月18日〜21日