デザイン哲学Bar「プロボケバー」は、国内外の第一線で活躍する教授、デザイナー、編集者からの挑発的な問いに対して、お酒を片手に会場のみなさんとともに考える場です。武蔵野美術大学基礎デザイン学科と九州大学大学院芸術工学研究院が共催し、全6回開催しました。今週は、第4回、第5回の二夜連続です。
第4回
8/30(木) 19:00-21:30
会場:紺屋2023
タイトル:終わらない編集としてのデザイニング
プロヴォケーター:藤崎圭一郎、池田美奈子
コーディネーター:古賀徹
デザインはしばしば問題解決といわれるが、編集とデザインとの相似性から浮き彫りになることは、答えから問いを探し出す入れ子状の終わりなき文脈創造プロセスであり、そこには21世紀の新しいデザイン観の道標があるはずだ。『デザインの現場』などの編集長を務めた藤崎氏と、情報編集・デザイン史を専門とする池田氏が、編集の現場で積み重ねた編集観・デザイン観を織り交ぜながら、デザインプロセスに特有のクリエイティビティのあり方を語る。
第5回
8/31(金) 19:00-21:30
会場:紺屋2023
タイトル:変動する意味としてのデザイン
プロヴォケーター:小林昭世、古賀徹
コーディネーター:伊原久裕
記号論者のモリスやパース、コンセプト論を展開したドゥルーズの思考から、現代のデザインを捉え直してみる。意味を感知するのは人間だとすれば、デザインの対象は最終的には〈もの〉でもなく、また〈しくみ〉にも留まらない。それは一体何を造形し、そして何を目指すのか。記号論の観点からデザインを捉える小林氏と、現代哲学が専門の古賀氏が、記号や概念のつながりとしてのデザインのあり方について新たな視点を探る。
[会場]
紺屋2023:〒810-0041 福岡市中央区大名1-14-28 第一松村ビル201 Tel: 092-984-6292
[プロヴォケーター・コーディネータープロフィール ]
プロヴォケーターとは、挑発的な問いかけで議論を活性化させる人のこと。
伊原 久裕 /
九州大学芸術工学研究院教授。GKインダストリアルデザイン研究所を経て、1988年九州芸術工科大学に助手として着任。以降、ブリュッケやアイソタイプなど紙メディア時代であった20世紀前半に興隆する情報デザインを中心とした歴史研究に携わる。
古賀 徹 /
九州大学芸術工学研究院教授。専門は哲学。近現代の欧米圏の哲学を中心に研究を進める。水俣病やハンセン病、環境破壊、全体主義など、現実の諸課題に即して思考を続ける一方、デザインの基礎論の構築を試みる。
小林 昭世 /
武蔵野美術大学基礎デザイン学科教授。専門は、デザイン理論・デザイン方法論とその歴史。現在、記号論の観点から「視覚化」によるデザインの基礎づけを検討している。その関連でデザイン概念の形成を巡る1920年代のデザイン史、形態論・色彩論から制作について分野横断的に考えている。
池田 美奈子 /
九州大学芸術工学研究院准教授。ドイツのフランクフルト大学で美術史を学んでいた時にバウハウスと出会いデザインの道へ。帰国後、東京芸術大学大学院を修了し、同大学助手を務めた後、出版社に勤務しデザイン誌の編集者となる。独立後、IIDjを共同設立し、情報デザインを中心に活動を展開。専門はデザインと情報編集。
藤崎 圭一郎
デザイン評論家、編集者。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。美術出版社『デザインの現場』編集長を経て、フリーランスライターとして雑誌、新聞等にデザインや建築の記事を寄稿。2010年より東京藝術大学デザイン科准教授、2016年より教授。現在デザイン雑誌『AXIS』に生物学の最前線の研究室を訪ねる記事を連載中。