合唱やダンスに見られるように、声や体の動きを他者と合わせるリズム同調は、ヒトが社会的なつながりを強める際に一般的に用いられる手段として知られている。実際に、世界中の文化・宗教的儀式ではこうした同調行動が頻繁に取り入れられており、特定の感情(例:喜びや悲しみなど)を共有し、集団内の気持ちを一つにする機能が指摘されてきた。
一方で、どのようにしてヒトは、こうした高度なリズム感を獲得してきたのかといった進化的な起源はほとんどわかっていない。本発表では、講演者が行ってきたヒトとチンパンジーを対象にしたリズム音に対する同調実験を紹介するとともに、ヒトとチンパンジーにおける社会性との関連も議論しながら、ヒトの社会性の基盤にあるリズム同調の進化的起源について考察した。
※本講義は大学院臨時開設科目バイオデザイン特論の一環として実施しました。
バイオデザイン特論 特別セミナー「チンパンジーのリズム」
[講師]
服部裕子(京都大学 霊長類研究所 国際共同先端研究センター 助教)
日時
2019年3月4日(月)16:40〜18:10
場所
九州大学大橋キャンパス7号館 シアタールーム1F
福岡市南区塩原4-9-1
参加料
予約不要・参加費無料