九州大学環境設計グローバル・ハブとニューサウスウェールズ大学建築環境学部の共催による展覧会「Revisiting Shoei Yoh 葉祥栄再訪」をシドニーのオーストラリア・デザインセンターで開催しました。
オーストラリア・デザインセンターは、20 世紀後半にデジタルデザインの先駆者として活躍した日本人建築家・葉祥栄のアーカイブを活用した展覧会「Revisiting Shoei Yoh 葉祥栄再訪」を開催しました。本展では、1979 年から1994 年までに竣工した5 つの主要建築物を対象として、葉の実験的なデザインの軌跡をたどりました。
宇宙船を思わせる大胆なフォルムの「木下クリニック」(1979 年)は葉祥栄のマテリアル・テクノロジーに対する初期の関心を示しています。1980 年代には、初期のコンピュータ解析技術を木造立体トラス構造の設計に取り入れ、日本の木造建築の現代化に貢献しました。「ミュージック・アトリエ」(1986 年)は、杉間伐材を用いて木造立体トラス構造の可能性と性能を検証する、いわば試作的なプロジェクトでした。ここから熊本県小国町における一連のプロジェクトが始まり、独創的な逆円錐形の「小国町交通センター」(1986 年)を経て、日本初の3000 ㎡を超える大規模木造建築である「小国ドーム」(1988 年)の建設へと達します。そして、葉の関心は木から竹へと広がります。福岡県の筑豊地方に建てられた「内住コミュニティセンター」(1994 年)は、複雑な形状を実現するために、竹型枠コンクリートと折紙のジオメトリー、高度なコンピュータ解析を組み合わせた、葉の最も先鋭的な建築の探求です。
この展覧会では、葉氏が九州大学に資料を寄託し開設された「葉祥栄アーカイブ」の建築図面や写真に加え、葉の建築作品群を3D スキャンして新たに作成したアニメーションや、ゲームエンジンを用いてデジタル空間内に再現された建築モデルをつうじて、葉祥栄の作品を紹介しました。「内住コミュニティセンター」の3D スキャンデータから開発された没入型の3D 空間環境の中に、デジタル化されたアーカイブ資産が保管されます。これらは、「葉祥栄アーカイブ」のウェブ開設を記念した試みです。
「葉祥栄アーカイブ」ウェブはこちらから
Revisiting Shoei Yoh – Australian Design Centre
[プロジェクトチーム]
本展覧会は、オーストラリア政府外務貿易省(DFAT)豪日交流基金の助成の下、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)建築環境学部と九州大学環境設計グローバルハブの研究者による共同研究の一環として開催されます。また、プロジェクトパートナーであるマイクログローバルエージェンシーのdoq が協力をしています。
UNSW チーム: Dr Nicole Gardner | Associate Professor M Hank Haeusler | Dr Kate Dunn | Dr Jack Barton | Tracy Huang | Daniel Yu | Anthony Franco | Charlotte Firth | Madison KIng | Nichola Jephcott | Sofie Loizou(音楽)
九州大学チーム: 岩元真明助教 | 井上朝雄准教授 | 財部祐揮 | 百枝優
[主催] ニューサウスウェールズ大学コンピュテーショナルデザイン学科、九州大学環境設計グローバルハブ
日時
2021 年11 月30 日 - 2022 年1 月25 日
場所
オーストラリア・デザインセンター(シドニー)